こんにちは、青山学院大学硬式庭球部の編集担当です。
今回は男子テニス部の臨時コーチをお引き受けいただいている杉山芙沙子さんのインタビューをさせて頂きました。毎週水曜日は茅ヶ崎のパームインターナショナルのコートを確保いただき密度の濃い練習をさせていただいています。博士号を持つ杉山さんは、アスリートの成功は技術だけではなく心と頭の成長が不可欠であるというお考えのもと、広い視野で現役をご指導いただいています。
2021年7月3日(土)
パーム・インターナショナル・テニスアカデミー(神奈川県茅ケ崎市)にて
1.今シーズン、男子臨時コーチをお引き受けいただいた経緯を教えてください。
サポートしている穂積絵莉プロの練習パートナーとして、OBである梅田邦明コーチが青学の選手をアレンジしてくださったことがきっかけです。
最初は、選手のどうしても気になった技術的な部分のみバイオメカニクスの観点でアドバイスをさせてもらっていましたが、「青学の選手がレベルアップすることは絵莉のレベルアップにも直結する」という考えが芽生えてきて、更に、「一緒に練習するならみんなが上手くなった方が良いよな」と考える様になり、徐々に総合的な指導に発展していきました。
そんなコート上での実態と青学の選手の変化に気が付いた山下監督からオファーをいただいた次第です。
2.選手の指導で心がけていることはどのような点でしょうか。
娘の愛(元プロテニスプレーヤー)や錦織圭の指導、世界のトッププレーヤーを間近で見てきた経験から、①身体体力(カラダ)、②精神体力(ココロ)、③知的体力(アタマ)の3つをバランスよく養い、生きる力=人間力を高めることが人としても、選手としても必要だと学びました。
これは私の研究分野でもあるのですが、主に子どもの教育手法として書籍(※)に詳しくまとめてあります。
青学の選手もここからもう一段階も二段階も飛躍するためには、この3つがしっかりと絡み合い、1日の練習を含む日々の練習、トレーニングさらにはコート外での過ごし方までさらに充実させることが重要だと言うことを念頭において指導しています。
※「子どもの可能性を伸ばすスポーツ共育」(フレーベル館)
3.青学の選手に対する印象について教えてください。
率直に素敵な学生ばかりです!
練習に一生懸命取り組み、楽しめることができること、何より理解力が高いです。そして、コミュニケーション力の高さは取り分け素晴らしいと思います。
先ほどの3つの体力(①身体体力(カラダ)、②精神体力(ココロ)、③知的体力(アタマ))をバランスよく養っていくことがどのように繋がっていくのか?を理解しようとする気持ちが伝わってきて、私自身もこの情熱に突き動かされます。
時々ジュニアアカデミーの練習にも参加してもらっていて、練習の最後に「サークルタイム」と言って、その日の反省など全員に一言ずつ発言してもらう時間があるのですが、その際に青学の選手は感じたことを表現する力もあり、ここでもコミュニケーション能力の高さを感じます。
『ジュニアのみんながテニスを楽しそうにやっている姿を見て初心に帰れました!今日はありがとう!』とか、『反省でダメだったことだけじゃなくて、良かったことも話そう!今日の練習で大学生の自分たちに追い付こうと頑張ってたよね』などなど、大学生の素直な言葉はジュニアにも刺激になるし、青学の選手も深く考えて表現する力が更に磨く機会になっていると感じます。
青学の選手たちも楽しそうに練習に参加してくれていますので、winwinな関係と言いますか、双方に役に立っているこのスタイルはいい練習方法の一つかもしれないと思っています(笑)
4.最後に大学生に向けてお伝えしたいことがあればお願いします。
私はテニス自体に人を育てるポテンシャルがあると思っています。
大学4年間でテニスに打ち込む中で、自分をみつめ、自分を知り、自分を高めるこのサイクルが、今後社会へ出た際に必ず活きてくると信じています。
一生懸命やったとしてもテニスの結果に結びつくことは簡単ではありませんが、
①身体体力(カラダ)、②精神体力(ココロ)、③知的体力(アタマ)の3つを
バランスよく養いながら、それぞれのゴールに向かって一日一日を丁寧に過ごし、結果へ辿り着くまでのプロセスの中で、時には挫折を味わい、時には達成感を楽しむことが出来れば、それは学生たちにとって大きな自信へとつながると信じています。